論点

着地に関してフォアフットやミッドフットが良いか、ヒールストライクが良いかというのは議論できるポイントだ。

フォアフットが言わば「流行り」といえる時期もあった。今でもマラソンで常に上位を占めるアフリカ勢やその他著名なランナーがフォアフットだという理由で、とりあえずフォアフットを勧める向きも多い。

確かにマラソンで常に上位を占めるアフリカのランナーにはフォアフットが多い。ただ、彼らは小さい頃から不整地で走ってきており、バランスを取りやすい姿勢で走る必要があった結果として踵から着地するフォームに落ち着いたという環境的な要因が大きい側面もある。

最近の調査ではエリート・ランナーでもヒールストライクのランナーが多いというデータが複数あり(たとえばこちら)、一概にフォアフットやミッドフットが優れているとは言えないのではないかという見方が多くなってきている。

考察

個人的には、理屈としては長距離になればなるほど(また不整地になるほど)フォアフットやミッドフットのほうがランニング・エコノミーなどの面で優れているが、現実問題としては個人のバックグラウンドや筋肉などの身体的特徴、体の使い方などの要因によってどれが適しているかには個人差があり、かならずしもどれが正解とは言えない、と考えている。

踵から設置するのは、着地する足が体から離れた位置に着地する結果として起きる。前方に着地しながらフォアフットあるいはミドルフットにしようとすると、足首を不自然に伸ばす必要がある。一方、接地が体の重心に近いところで行われれば、自然と足の裏からの着地となり、足裏の中心あるいはつま先から自然と着地する。

エコノミーという観点からは、着地時にブレーキがかからず、スムーズに前進するモメンタムが働くような走り方がよい。そのようなフォームは、重心が高いアップライトな姿勢となり、自然と着地が体の下付近になり、結果としてミッドあるいはフォアフットになる。

一方、足の力で走ろうとすると、前足が前方に伸び、踵から着地する。そこから筋肉によって体を前へと進めていく必要が出てくる。短めの距離から長距離へと移行するランナーの中には、こうした傾向をもつランナーが多いのではないかと推測する。

ただ、最近は厚底が多いランニング・シューズは、踵からの接地に対して力を吸収して、さらに前方への推進を補助してくれる。ツールがフォームを補完してくれるのであれば、使っても良いと思う。

ランニングは全身運動であり、着地だけを見るよりは走り方全体から見たうえで、そこから自分にとって最適な着地なりフォームなりを探っていくと良いと思う。