アップライトの姿勢

走る動作では、地面に足が着地した時の反発によって前進する。着地時に体が屈曲すると、地面に対してしっかり力が伝わらず反発力が弱まる。着地時に体が伸びていれば、しっかりと地面に力が伝わり反発力が強まる。アップライトの姿勢を意識して脚や背中が屈曲しすぎないようにすることで、反発力を利用することが出来る。

できるだけ大きなパワーを一気に出力する瞬発系の運動と違い、エンデュランス系の運動では限りあるエネルギーを有効に使う必要がある。軸がブレると力が真っ直ぐに地面に伝わらなくなる。反発力がうまく使えず、ランニング・エコノミーという観点からも不利となる。

意識するポイント

  • 足が体の下あたりに着地することを意識する。前に着地しようとする意識が強すぎると、着地した後に足より前に体を運ぶための無駄な力みが出たり、アップライトの姿勢が保てなくなったりする。一方、良い位置に着地できれば、無駄な力を必要とせずに体を前に進めることが出来、また足を自然な形で後ろに送ることが出来る。
  • 着地時には体が沈みこみすぎないようにする。多少体が沈むことは自然な動きだが、体が沈み込みすぎると反発力が吸収されてしまう。
  • 無理にピッチを広げようとしすぎず、回転数を安定的な範囲で高める。ピッチを広げようとすると、どうしても筋肉を動員した走りになりがちになる。回転数を意識し、効率的に足を回していくことは、無駄なく有効にエネルギーを使うことに繋がる。心肺への負荷という観点からも、エンデュランスでは効率的なフォームが有利である。

具体例:Rob Krarの走り

Rob Krarは身長173センチ程と他の北米のランナーと比較しても決して身長が高くない。

以下の動画を見ると上体がほとんどブレずに、良いリズムを崩さずに走っているのがよくわかる。無駄が少なく、いつまでも足が回転できそうな勢いである。

これだけ姿勢がブレないのには、当然ながら体感の強さが重要だが、姿勢とピッチを見る上ではとてもよいお手本だ。